子路第十三１８｜父は子の為めに隠し、子は父の為めに隠す

葉（しょう）公（こう）、孔（こう）子（し）に語（かた）りて曰（いわ）く、吾（わ）が党（とう）に直躬（ちょくきゅう）なる者（もの）有（あ）り。

其（そ）の父（ちち）、羊（ひつじ）を攘（ぬす）みて、而（しこう）して子（こ）、之（これ）を証（しょう）せり。

孔（こう）子（し）曰（いわ）く、吾（わ）が党（とう）の直（なお）き者（もの）は、是（これ）に異（こと）なり。

父（ちち）は子（こ）の為（ため）に隠（かく）し、子（こ）は父（ちち）の為（ため）に隠（かく）す。直（なお）きこと其（そ）の中（うち）に在（あ）り。

先生がおっしゃった。田舎で善人だとされて、下手にちやほやされて葉公が孔子に語った「わが郷里に直躬という正直者があります。その父が羊を盗んだ時、これを訴え証言したのです。これは正直さの極地ではありませんか。」

孔子が言った「わが郷の正直者は違います。父は子のために隠し、子は父のために隠します。真の正直さとはその中にあるのです。」